拓落失路

フリーランスとして独立したダメ人間の戯言

お姫様だっこは危険なんですよ

お姫様だっこって女性からするとかなりのリスクを負うよねって話しをしていて思い出した事がある。

あれは函館へ遊びに行った際に起きた事件だ。
函館山の夜景はとても有名なので知る人も多いと思うが、その麓に函館護国神社っていうのがある。
ここは縁結びのご神益があると言われている。
僕は神社に興味は無いが一応観光地なので覗いてみた。

日本国に殉した戦没者の霊を祭る神社ということで慰霊碑のようなものがたくさんありそこそこ広め。
帰りに駐車場へ戻るには来た道をグルっと回らなければならない。
よく見ると慰霊碑の近くに芝の坂があり、わずか5mほどを降りれば車まですぐ戻る事ができる。

僕が彼女にここをショートカットして行こうと言うと、彼女はヒールを履いているので坂を降りられないという。
「しょうがないなぁ〜」と彼女をお姫様だっこして坂を降りると言い、ワイルドに担ぎ上げた。

お姫様だっこは女性からすると結構怖いものらしいね。
すべて身を委ねる形になるから、それで急な坂を降りようって言うんだから彼女のビビりっぷりも今になると分かる気がする。

僕はお姫様だっこのまま坂を下り始める。
だっこしているので足下が見えづらく難儀しながらゆっくりと下る。
しかし急勾配なので足が止まらなくなり、駆け足になってしまい下まで一気に走り出した。
彼女をお姫様だっこしたまま急勾配を走るとなると、もうどうなるかお分かりだろう。

下に降りきったところで僕の身体は完全に前傾姿勢。
このままでは彼女をぶん投げてしまうと思い、前向きのスライディング姿勢になりつつ彼女を守った。
彼女の身体は僕が腕で支えていたので無傷だが、下に付いた衝撃で彼女の首がグワンと後ろに反り、コンクリートに後頭部を打ち付けてしまった...

僕の手はコンクリートで血まみれだが、彼女は後頭部をコンクリートに打ち付けたのでもっと一大事!
その様子を見ていた人が「大丈夫ですか?」と歩み寄るも、大丈夫と言って彼女を車に運び少し休憩させた。
彼女はそのまま死ぬんじゃないかと思ったらしいが、結果たんこぶが出来た程度で大事には至らなかった。

僕は帰り際、神社の境内へ戻り人生で初めてお賽銭箱に1,000円札を入れて彼女が無事でありますようにと祈った。
と同時に何故か慰霊碑に憎しみを覚え、石にガンを飛ばしながら車へ戻った。

それ以来、お姫様だっこはトラウマになっている。
調子に乗った結果があの大惨事だったので、一歩間違うと殺人事件になっていたかもしれない。
お姫様だっこは気をつけてするようにしましょうね。

あ、どうも独身です...